研究概要 |
本研究では、常染色体性優性遺伝を示す遺伝性癌疾患または高頻度で癌を発症する疾患群の原因遺伝子に着目し、癌患者群、特に家系内発症が見られる患者群ならびに正常対照群におけるこれらの遺伝子内に存在するSNP多型を解析することにより、癌患者群にて有意に高頻度に認められるゲノム多型またはハプロタイプを見いだすことを目的とする。 本年度は解析を行う遺伝子についてSNPジェノタイプのためのプローブの調製並びにジェノタイプのための条件検討を行った。ジェノタイプを決定する方法にはインベーダー法を用いることとした。また、ジェノタイプを決定する作業をより効率化するために、標的とするSNPの周囲を増幅する際には48個のプライマーをミックスしたマルチプレックスPCRを用いることとした。マルチプレックスPCRに用いるプライマーの作製、ならびに条件検討を行った。更に微量のDNAでもジェノタイプ決定を可能とするために、東京大学医科学研究所にて開発されたカードシステムを導入した。これらの結果、以下の遺伝子についてSNPジェノタイプが可能となった(括弧内は測定可能なSNP数);ATM(6),NBS1(10),BLM(17),WRN(5),FANCA(15),FANCC(17),FANCD2(4),FANCE(2),FANCF(2),XPA(1),XPC(7)。 SNP解析を行う癌症例を収集するにあたり、財団法人癌研究会ヒトゲノム遺伝子解析倫理審査委員会にて本研究計画の審査を受け、承認を得た。現在症例の収集を続行している。
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