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2003 年度 実績報告書

イムノフィリンリガンドによる脊髄損傷修復の基礎および臨床研究

研究課題

研究課題/領域番号 15689018
研究機関名古屋大学

研究代表者

新田 淳美  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (20275093)

キーワードサイクロスポリン / イムオフィリン / カルシュニューリン / 脳由来神経栄養因子 / グリア細胞株由来神経栄養因子 / ラット
研究概要

免疫抑制剤には本来の免疫抑制作用のほかに神経栄養効果が報告されてきた。本研究によって、シクロスポリンAやタクロリムスが脳由来神経栄養因子(BDNF)やグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)の産生を促進し、これらを介して神経栄養を発揮することを明らかにした。しかし神経保護作用を期待するとき、免疫抑制作用は生体に不利益をもたらす恐れがある。そこで本年度は免疫抑制作用をもたないイムノフィリンリガンドリガンドの探索と薬効判定を試みた。
タクロリムスがイムノフィリン(FKBP12)に結合する構造に注目し、これと類似した構造を持つLeu-Ileとその類縁物質「A」について検討した。両物質は神経栄養因子の産生を促進し、培養下で神経細胞死を抑制すること、さらに培養脾臓細胞によるインターロイキン2の産生を抑制しないことを明らかにした。以上の結果より、いずれの物質も免疫抑制作用をもたない新しいイムノフィリンリガンドであると考えられたので、胸髄を半切断した脊髄損傷ラットを作製し、「A」物質を腹腔内に毎日投与した。
投与開始3日目から歩行能力が回復し23日後にはほぼ損傷前のレベルにまで運動機能が回復した。無処置の脊髄損傷群も時間の経過に伴い、緩やかに運動機能が上昇したが、投与群より低いレベルにとどまり、16日後以降の回復は観察されなかった。以上、[A]物質は脊髄損傷の修復に有効であることが示唆された。Leu-Ileジペプチドについても現在検討中である。これらの免疫抑制作用をもたないイムノフィリンリガンドをリード化合物してさらに強力な活性物質が創製できれば、脊髄損傷をはじめとする中枢神経疾患の治療薬の開発につながるものと期待される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Maruyama W.et al.: "N-Propargyl-1(R)-aminoindan, rasagiline, increases glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF) in neuroblastoma SH-SY5Y cells through activation of NF-kB transcription factor."Neurochem.Int.. 44. 393-400 (2003)

  • [文献書誌] Nakajima A.et al.: "Role of TNF-α in methamphetamine-induced drug dependence and neurotocicity."J.Neurosci.. (In press).

  • [文献書誌] Nagai T.et al.: "Tissue plasminogen activator-plasmin system participates in the rewarding effect of morphine by regulating dopamine release."Proc.Natl.Acad.Sci.USA.. (In press).

  • [文献書誌] Nitta A et al.: "Insulin-like growth factor-1 prevents neuronal cell death induced by corticosterone through the activation of the PI3K/Akt pathway."J.Neurosci.Res.. (In press).

  • [文献書誌] O' Donnell J.et al.: "Gene expression profiling following chronic NMDA receptor blockade-induced learning deficits in rats."Synapse. 50. 171-180 (2003)

  • [文献書誌] Kim H-C, et al.: "Immunocytochemical evidence that amyloid beta (1-42) impairs endogenous antioxidant systems in vivo."Neuroscience. 119. 399-419 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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