研究概要 |
若年者9名(19-29歳)を対象に、安静時および運動時の圧受容器反射感受性(BRS)を連続血圧信号から評価した。分析法として慣習的方法であるSequence法(BRS-SEQ)と二次元自己回帰モデル(BRS-2AR)を比較した。安静時は非常に高い相関が見られた(BRS-SEQ vs.BRS-2AR:27.6±5.0 vs.10.5±1.5 ms/mmHg,r=.96)であったが、運動時ではSequenceが検出できない対象が2名いた。一方、BRS-2ARでは、運動中の圧受容器反射感受性の変化を捉えることができた(安静時 vs. 運動時:10.5±1.5 vs.8.7±1.8ms/mmHg)。従って、BRS-2ARは特に運動中の圧受容器反射感受性の定性的な評価に有用である可能性が示唆された。 次に、高齢者12名(85-95歳)を対象に、安静時の自律神経活動評価法として連続血圧信号の周波数解析を行った。連続血圧信号は、1)トノメトリ方式連続監視装置による非観血的連続動脈圧(Arterial Blood Pressure;ABP)と2)圧センサーによる連続圧信号(Finger-Pressure Signal;FPS)を用いた。安静時のABPおよびFBPによる平均Pulse Intervalは、非常に高い相関がみられた(ABP vs.FBP;866.24±25.40 vs.866.15±25.38ms,r=0.99)が、収縮期血圧の相関は低かった(119.84±4.11mmHg vs.9.24±1.56ms,r=0.34)。一方、血圧変動は低周波数領域、高周波数領域とも相関がみられた(r=.74,r=.64)。従って、圧センサーでは、正確な血圧値を得ることはできないが、血圧変動値を評価できる可能性が示唆された。
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