組合せ最適化問題に対する汎用アルゴリズムの開発を目指し、本年度はとくにスケジューリング問題を中心に研究を進めた。具体的には、ジョブショップやフローショップなど、古典的なスケジューリング問題の一般化である資源制約スケジューリング問題(RCPSP)を取り上げ、これに対するタブー探索法に基づく近似アルゴリズムの設計、開発を行った。 RCPSPは、多くのスケジューリング問題を記述できる組合せ最適化問題であるが、現実問題への応用を考えると、その定式化能力は必ずしも充分ではなかった。そこで本研究では、作業の中断や並列処理を扱えるようRCPSPを一般化し、さらに、基本的な資源制約、先行制約に加え、最大遅延時間を表現することのできる時間制約を導入した。これにより、従来効率よく扱うことのできなかった複雑なスケジューリング問題も自然に扱えるようになった。アルゴリズムは、作業の順列を解表現に用いたメタヒューリスティクスを用いており、スケジュールは、リストスケジューリングを解に適用することで得られる。本研究で用いるRCPSPは定式化がやや複雑であるため、データ構造を工夫することでリストスケジューリングの計算手間を抑えている。 提案手法の性能を評価するため、まず、ベンチマーク問題例に対する計算実験を行った。これらの問題例は作業の中断や並列処理を伴わない比較的単純なRCPSPであり、他の手法と比較することが可能である。計算実験の結果、従来の最良値を更新するなど、提案アルゴリズムの有効性が確認できた。また、産業界の実問題に対しても提案手法の適用を行い、実用的なスケジュールが得られることを確認した。今後、さらに多くの問題に対する計算実験を通して、アルゴリズムの高速化、高性能化を実現していきたい。
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