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2003 年度 実績報告書

実現可能性を考慮した量子計算モデルの解析に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15700014
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

中西 正樹  奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (40324967)

キーワード量子計算 / 計算モデル / 有限オートマトン / プッシュダウンオートマトン / 量子計算機シミュレータ / FPGA
研究概要

量子計算機として実現の可能性が高いモデルを提案し,従来の計算モデルとの計算能力の違いを解析するのが本研究の主たる目的である.このため,3つの量子計算モデルを提案し,その能力の解析を行った.
一つ目は,量子有限オートマトンに従来の確率計算の手法を導入したもの(確率量子有限オートマトン)であり、このモデルを用いると、(1)ある特定の言語について、従来の量子有限オートマトンよりも誤り確率を低くできる。(2)ある特定の言語について、従来の確率有限オートマトンよりも状態数を少なくできる。(3)観測の回数を1回に制限すると、従来の量子有限オートマトンでは認識できない言語を認識できる。以上の3点を示した。
二つ目は、古典スタックを持つ量子プッシュダウンオートマトンであり、片側誤りの制約のもとで、従来の確率プッシュダウンオートマトンよりも真に能力が高いことを示した。つまり、(1)古典スタックを持つ量子有限オートマトンで、任意の確率プッシュダウンオートマトンをシミュレートできる。(2)従来の確率プッシュダウンオートマトンでは認識できないが、古典スタックを持つ量子有限オートマトンでは認識できる言語が存在する。ということを示した。
三つ目は、Golovkinsによって提案された量子プッシュダウンオートマトンについて、エラーなし計算の条件のもとで、量子プッシュダウンオートマトンでは計算可能であるが、従来の決定性プッシュダウンオートマトンでは計算不可能な関数があることを示した。これは、量子プッシュダウンオートマトンの能力が従来のプッシュダウンオートマトンより優れている可能性を示唆する結果である。
さらに、平成16年度に予定していたVLSI量子計算シミュレータの開発を前倒しして、本年度から着手し、いくつかの成果をあげている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 中西正樹: "状態遷移関数を確率的に選択可能な1方向量子有限オートマトン"情報科学技術フォーラム2003(FIT2003). A-049 (2003)

  • [文献書誌] 高木文博: "FPGAを用いた量子探索シミュレータ"情報科学技術フォーラム2003(FIT2003). C-031 (2003)

  • [文献書誌] 高木文博: "状態空間の分割を用いた量子探索ハードウェアシミュレータ"電子情報通信学会信学技報. VLD2003-94. 145-150 (2003)

  • [文献書誌] M.Nakanishi: "One-Sided Error Quantum Pushdown Automata with Classical Stack Operations"IEICE Technical Report. QIT2003-93. 155-158 (2003)

  • [文献書誌] Y.Murakami: "Quantum Pushdown Automata that can Deterministically Solve a Certain Problem"International Symposium on Mesoscopic Superconductivity and Spintronics (MS+S2004). 16 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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