研究概要 |
本研究では,情報通信ネットワークにおける設計・制御に関する諸問題に対して,グラフ理論的な観点からのモデルの構築および高速アルゴリズムの設計,計算量評価を行ない,今年度は以下の成果を得た. 1.現実の情報通信ネットワークなどの自律的に形成されるネットワークの特性を調査し,形成モデルの検討およびその理論的・実験的評価を行った.その結果,新サービス利用ユーザの拡散過程をネットワーク内の部分ネットワークの成長過程としてモデル化し,現実のデータに適合するための条件を発見した.更に,ネットワークのノード数が増加しない状況において,スケールフリーという,べき乗則に従う次数分布が出現するメカニズムを検討し,従来知られていたモデルと本質的に異なる新たなネットワーク形成モデルを発見した. 本検討により,多くの現実のネットワークが属するグラフのクラスが限定でき,制御・設計に関する諸問題に対する高速アルゴリズムを設計する際の適用領域が明確化された. 2.複数のサーバ群が互いに連携・協調しながらサービスを提供するネットワークにおける高信頼ネットワーク設計問題を,最小辺付加NA連結度増加問題として定式化し,その計算量とアルゴリズムを検討した.その結果,1-NA辺連結化問題はNP完全であることを証明し,2-NA辺連結化問題に対して多項式時間アルゴリズムを与えた.
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