本年度は、複数の物体が移動する空間において、その物体を効率よく巡回するロボットの経路を求める問題の基礎的な場合について検討を行った。具体的には、物体を巡回するロボットが直線移動しかできない(直進、後退のみ)場合に、いかにしてできるだけ多くの物体に接触するかを考察した。 ロボットが移動できる軌道があらかじめ与えられている場合、ならびにその軌道をロボットが自分で選択できる場合の2種類の問題設定が考えられる。両問題設定とも最大個数の物体を巡回する経路を求めるアルゴリズムを開発した。また1台のみのロボットを用いた場合には、その性質上、すべての移動物体を巡回することはできない。そこで、複数台のロボットを用いて、同じ問題の解決を試みた。例えば、複数台のロボットがすべて同じ軌道上を動く場合には、ロボットの台数が2台までならば最大個数を巡回する経路を見つけることができるが、3台以上の場合には、問題がNP完全となることなどを示した。あるいは、逆に与えられた軌道上を何台のロボットを動作させればすべての移動物体を巡回できるかを求める問題も考察した。この場合、1つの軌道上を全ロボットが動作する場合には多項式時間で解け、複数の軌道が存在してよい場合にはNP完全になることを示した。(これらの成果は、国際会議CATS 2004で発表) また、分散環境下において、仕事をどのロボットに割り当てるかを考える際のツールとなる組み合わせ問題に対する近似解法に関する研究も行った。(この成果は、Optimization Methods and Software誌に発表)
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