次世代マルチメディア言語であるフィルム言語によって指定された計算を、実行可能なプログラム・コードに変換するためのコンパイラ技術について以下の研究と開発を行った: 1.昨年度はデータ構造としてグリッド構造を持つ計算のためのテンプレート・プログラムとテンプレート・コントロール・ファイルを作成したが、本年度はグラフ構造を持つ計算のためのテンプレート・プログラムとテンプレート・コントロール・ファイルを20組作成した。その結果、グラフ構造を持つ計算では、計算全体を幾つかのより小さな計算パターンの組み合わせによって表すほうが効率的であることが確かめられた。もっとも小さな計算の単位をsceneとし、幾つかのsceneによって表される計算をschemeと呼ぶことにし、よって計算の指定もこれらschemeとsceneを中心に行うことにした。 2.フィルム言語で計算を指定する際、用意されているテンプレート・プログラムの種類や各テンプレート・プログラムが表す計算の単位によって、指定しなければならない情報や指定できるものが限られてくる。したがって、どのようなテンプレート・プログラムが用意されているかによって適切な操作を可能とするフィルム言語のエディターが必要である。これまでに、上記schemeとsceneの単位で計算を指定できるエディターの試作版の開発を完了し、テストと改良を行っている。 3.上記で述べたテンプレート・プログラムはあくまでも計算の骨格であり、計算の指定を完成するにはユーザが変数や数式を入力しなければならない。ユーザはフィルム言語を通して計算を指定しているため、これら変数や数式が原因でコンパイル時にエラーが出た場合、そのまちがいをフィルム言語上で示さなければならない。そのために必要なメタデータの定義と連携方法を設計・検証した。
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