研究概要 |
本年度は,まず大学内のIPv6ネットワーク整備に取り組んだ.Japan Gigabit Networkの更新に伴い,大阪大学の外部接続部分が更新されるため,IPv6ネットワークの再設計を行った.具体的には,現在SINET, WIDE, APANという組織に対してIPv6による接続をもつが,これらの組織から別のプレフィックスを獲得し,外部接続ルータにおいて,ソースルーティングによる経路選択が行える環境構築を行う.来年度初頭には設定を投入し,学内から利用可能にする予定である.また,EGP4+による経路交換についても,合わせて検討する予定である.また,平成15年11月に米国Phoenixにて開催された国際会議Super Computing2003において,IPv6ネットワークを用いてHDTV画像伝送実験を行った.今年度利用したコーデックはJPEG2000をエンコーディングアルゴリズムとして採用しており,以前実験を行ったMPEG2ベースのものよりも応答性を改善することができた.さらに,動画像だけではなく,グリッドコンピューティング環境における大規模データの伝送および解析を行う場合の,処理手法の効率化について検討した.具体的には超高圧電子顕微鏡やSPring-8などの試料観測装置から出力される画像データの3次元再構築処理の高速化に取り組んだ.本研究では,3次元再構築に必要となる主要な画像処理,バックプロジェクション,セグメンテーション,ボリュームレンダリングのうち,まず,セグメンテーションとボリュームレンダリングに注目し,大規模データを分割して,パイプライン処理することにより処理時間を短縮するためのアルゴリズムについて検討した.また,グリッド環境においてパイプライン化技術を用いる上での問題点について検討し,解決手法を提案した.提案手法を用いて評価を行った結果,グリッド環境においてもパイプライン化技術を適用し,処理時間を短縮できる可能性があることを示した.来年度にIPv6ネットワーク環境の整備が完了し次第,マルチホーム環境を利月可能なグリッドアプリケーションを構築し,利用実験を行う予定である.また,ネットワークの情報を用いた経路選択手法についても検討し,その実装と実測評価を行う予定である.
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