研究概要 |
本年度の主な成果として,確率的なハザード推論モデルの構築と強化学習による確率制御モデルの開発を行った. ハザード推論では不正アクセス検知に着目して,サーバの利用状況(プロファイル)を常に監視して,DoSアタックなどの異常を検知するためのモデルを構築した.異常を検知する技術として,ベイジアンネットワークを導入することで,従来の統計的な手法よりも多くのデータを矛盾なく利用することが可能となり,検知の精度が向上した.尚,これらの研究の一部を来年度広島で開催される国際会議で発表する予定である. 次に,強化学習による確率制御モデルの開発ではチェックポイントと節電制御(パワーマネジメント)に対する制御モデルの開発を行った.従来の確率を基礎とした制御モデルに対して,マルコフ決定過程を用いた再定式化を行うことで,強化学習が適用可能なモデルの記述を行った.強化学習に基づいた制御モデルを用いることで,障害発生確率やアクセス状況が変化する環境に対してもチェックポイントにかかるオーバーヘッドを短くするチェックポイント配置や消費電力を最小にするパワーマネジメントが実現できた.また,シミュレーション上で比較することで強化学習を用いた制御が有効であることを検証した.これらの結果をとりまとめた上でチェックポイントに関する結果を本年度3月に開催された国際会議で,パワーマネジメントに関する成果を学術雑誌に発表した. その他にも本研究に関連するものでは,ソフトウェアシステムの信頼性を向上させるための予防保全手続きの一種であるソフトウェアレジュビネーションに関する研究と,ソフトウェア開発工程で利用されるソフトウェア信頼度成長モデルに関する研究がある.これらの成果も学術雑誌や国際会議で発表を行った.
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