研究概要 |
本研究では,高速大容量ネットワークプロセッサ設計システムに対し仮想ネットワークプロセッサなるモデル化を計算機内部で行うことで,システムLSI設計におけるハードウェア/ソフトウェア協調設計の概念をプロセッサ設計に導入する.システムは,大別して,1.ハードウェア/ソフトウェア最適化,2.ハードウェア合成,3.ソフトウェア合成,の3要素から構成される.本年度では,ネットワークプロセッサの「ハードウェア/ソフトウェア最適化」に関する研究に取り組む.特に,ネットワークプロセッサの基本単位となるマイクロプロセッサコア構成と通信処理専用ハードウェアユニットの基本機能に着目し,通信パケットスイッチング,暗号化・復号化などの抽象的なネットワーク環境の動作記述から,これら基本単位をどのように合成するか,という観点から,以下の手順に沿って研究を進めた. (1)ネットワークプロセッサの基本単位たるマイクロプロセッサコアならびに通信処理専用ハードウェアユニットに関して調査した.マイクロプロセッサコアは汎用コアに通信処理用命令を付加したものを規定し,さらに暗号化ハードウェアを設計した. (2)(1)の結果を踏まえ,全ての通信処理専用命令を持つプロセッサコア,全てのネットワーク処理機能を持った通信処理専用ハードウェアユニットから構成される仮想基本単位をモデル化した. (3)仮想ネットワークプロセッサをベースに,ネットワーク環境に最適なネットワークプロセッサのハードウェア設計とソフトウェア設計とを同時に実現する,ハードウェア/ソフトウェア最適化手法を確立した.手法は分枝限定に基づき,ネットワークプロセッサのための最適な基本単位数,スレッド数,専用ハーウェア数を決定する.本年度では,性能,コストの2面から最適化を実現した. 来年度では,(3)の考えを発展させ,消費電力最適化に取り組む.さらに,(2),(3)の考えを基本にネットワークプロセッサのハードウェア設計に取り組む.
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