研究概要 |
本研究では,高速大容量ネットワークプロセッサの設計システムの構築を目的とする.提案する高速大容量ネットワークプロセッサ設計システムは,仮想ネットワークプロセッサなるモデル化を計算機内部で行うことで,システムLSI設計におけるハードウェア/ソフトウェア協調設計の概念をプロセッサ設計に導入したものである.システムは,大別して,1.ハードウェア/ソフトウェア最適化,2.ハードウェア合成,3.ソフトウェア合成,の3要素から構成される.平成16年度には,ネットワークプロセッサの「ハードウェア合成」に関する研究に取り組んだ.ここでは特に,ネットワークプロセッサを「アーキテクチャパラメータ」なる指標によって特徴付け,アプリケーションプログラムに適応した効率のよいネットワークプロセッサをいかに構成するかという観点から,以下の手順に沿って研究を進めた. 1.アーキテクチャパラメータとして,内部スレッド数をはじめとするプロセッサの内部構成要素をいかに特徴付けるか,を調査し,ネットワークプロセッサのアーキテクチャパラメータを決定した. 2.ネットワークプロセッサの周辺部に付随する周辺回路を設計した.周辺回路として,入出力パケット処理器,暗号化・復号化処理器,圧縮・解凍器などを考え,これらの基本設計を行った. 3.上記の結果を踏まえ,アーキテクチャパラメータをベースとしたネットワークプロセッサのハードウェア自動合成系を確立した. 4.前年度までに確立された「ハードウェア/ソフトウェア最適化手法」と連係をとり,各種アプリケーションプログラムに対して,性能,コストの2面から最適化が実現されたネットワークプロセッサの合成を試み,その特性を調査した. 来年度には,4.の考え方を拡張し,性能/コスト/消費電力の3面からの最適化を実現するネットワークプロセッサ合成を試みる.さらに,アーキテクチャボトルネックの解消を試み,よりスケーラビリティのあるシステム設計を目指す.
|