研究概要 |
本年度は、当初の計画通りOSCARチップマルチプロセッサ用のデータローカリティ最適化技術(データローカライゼーション手法)に関する研究を行なった。具体的には、プログラムから抽出した粗粒度タスク(並列処理の単位)をコンパイル時に静的にチップ内プロセッサへ割り当てると同時に、ローカルメモリへの割当ても行なうアルゴリズムを提案し、コンパイラヘの実装を行なった。さらに、提案手法を評価するためのOSCARチップマルチプロセッサのシミュレータの開発も行なった。SPECfp95のTOMCATVとSWIMを用いた評価の結果、8PEでローカライズを適用した場合,同8PEのローカライズ未適用時に対して,TOMCATVでは最大7.7倍、SWIMでは最大2.7倍の性能向上をそれぞれ得ることができた。 さらに、提案手法のマルチメディアアプリケーションへの適用例としてMPEG2エンコーディング処理に手動で提案手法を適用し、その予備評価を行った。本研究では、MPEG2エンコードがマクロブロックをデータ単位としてエンコード処理を行うことに注目し,まず,エンコード処理の各ステージをマクロブロックレベルの部分タスクに分割し、分割後の各部分タスクを粗粒度タスクとして定義した。その後、同じマクロブロックをエンコードする粗粒度タスク群をグループ化しこのグループが同じプロセッサ上で連続実行するように粗粒度タスクをスケジュールすることでデータローカライゼーションを実現した。本手法をMPEG2エンコーディングプログラムに適用しシミュレータ上で評価を行った。評価の結果、データローカライゼーション手法を適用しない逐次実行時間に対して1PEで1.07倍,2PEで2.12倍,4PEで4.06倍,8PEで6.82倍の速度向上が得られ提案手法の有効性が確かめられた
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