研究課題
本年度は、昨年度に引き続きソフトウェア協調動作型チップマルチプロセッサ用のデータローカリティ最適化およびデータ転送最適化に関する研究を行なった。本研究では、データを共有するタスク群に着目し、プロセッサコアローカルなキャッシュやローカルメモリのサイズを考慮してこれらのタスクを分割し各プロセッサコアに割り当て、キャッシュやローカルメモリの有効利用を図る。さらに、残存するデータ転送を、プロセッサコアに割り当てたタスクとオーバラップして行うことにより、データ転送オーバヘッドの隠蔽を図る。具体的には、MPEG2エンコーデイング処理やJPEG2000エンコーディング処理などのマルチメディアデプリケーションをターゲットとして、これらのアプリケーションに自動的にデータローカリティ最適化とデータ転送最適化手法を適用し、チップマルチプロセッサ上で効率よく動作させるためのソフトウェア・ハードウェア協調動作技術の開発とその評価を行なった。評価の結果、とりわけMPEG2エンコーディング処理では動作周波数400MHz時で逐次実行に対し8プロセッサ使用時で7.97倍、動作周波数2.8GHz時で逐次実行に対し8プロセッサ使用時で6.54倍の速度向上率を得られることが確認できた。MPEG2エンコーディングプログラムに対する本データローカリティ最適化およびデータ転送最適化は、自動並列化コンパイラによりほぼ自動的に行われる。より多くのアプリケーションに対して本手法を自動的に適用し対象アプリケーションを拡大することは今後の課題である。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
情報処理学会学会誌「情報処理」 Vol.47, No.1
ページ: 10-16
ページ: 17-23
情報処理学会論文誌 Vol.46, No.9
ページ: 2311-2325