研究概要 |
平成15年度には,本補助金申請にあたり計画に記した,1)医用脳画像における興味領域抽出手法に関する実験と改良,2)医用画像データの3次元再構成・可視化技術に関する実験と改良,及び3)3次元再構成・可視化された医用画像データに対する対話的操作技術に関する実験と改良を行った. 1)では,画像からの興味領域抽出手法の1つである動的輪郭モデルに対して,興味領域の形状を考慮する手法を提案し,新しいモデルを構築した.提案するモデルにより,動的輪郭モデルにおいて一般に困難とされるパラメータ設定に関してユーザの負荷が軽減可能であり,提案モデルの興味領域抽出に対する有効性が示された.2)については,1)の提案モデルを空間的に連続する画像に適用し,人体頭部MR像からの小脳抽出を行った.本モデルの特徴から,連続画像への適用が従来モデルと比べて容易になり,ボリュームレンダリングによる3次元可視化を通じて,小脳の3次元像が確認された.この成果は,医療分野における臨床や教育に有用性が高いと考えられる.3)に対しては,3次元位置測定装置などの利用を想定し,得られる3次元位置を2)で可視化された物体が存在する計算機内の仮想空間に対応させるアルゴリズムについて,検討とプログラム開発を進めている. 上記1)〜3)のいずれについても,本補助金により設備備品として購入された高性能ワークステーション(専用アプリケーションやソフトウェアライブラリを含む)と高解像度ディスプレイ,補助記憶装置を用いることにより実験・開発が可能になり,現在も本設備を使用して効果的に進められている.また,本補助金を受け,これらの成果について情報処理学会東北支部平成15年度第5回研究会(於山形大学工学部)において発表を行った.研究会では,参加者との質疑応答や情報交換により,貴重な意見や情報を得ることができた.
|