本研究では、個々の空間オブジェクトの形状や動きのデータとオブジェクトに付加された意味や情報を、「メディエータ」によって仲介し、スキーマ化することで、時空間のインデックス手法の確立をはかった。今年度は空間オブジェクトの中でも特に人体形状と構造とその動作に着目し、複雑な人体構造および動作について、モデル化およびデータベーススキーマ化について考察した。 本年度の成果として、次の2点を挙げることができる。 1.人体構造を階層構造としたメディエータモデリングの実現 2.人体動作の特徴姿勢に着目したイベントグラフの考察 1.については、Hub-Mediator-Real World Dataという3レベルの情報のモデル化について考察を行った。Hubとはあるオブジェクト群の共通情報を表すもので、いわばオブジェクト群のスキーマの役割を果たす。MediatorとはHubと個々の事例・事象(Real World Data)との直積の要素であり、Hubで示された規格によって記述された個別情報を少ないデータで表現する。この要素が人体動作データベースを構築するための本質的な要素となる。この概念を基に人体構造のモデリングにおいて、前述のオブジェクト群を人体の前腕、上腕、頭、首、胸などの動きの最小単位となる部品とし、動きの相関関係により階層的に連結した構造の定義を行なった。 2.については、人間の動作を瞬間的な姿勢の連続であるととらえ、手がある物体に触る、などといった自動的に抽出可能な姿勢をとりだし、Detectable Actionとし、動作をイベントグラフとして表現した。そしてその姿勢時系列の中で特徴的な姿勢をメディエータとし、その人間の動作の特徴を示すものとした。さらに、1.2.にしたがってモデル化された人体構造・動作情報のデータベーススキーマ記述について考察した。
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