本研究では、デザイナのイメージの発想という創造的能力を支援することのできる3次元服飾デザインシステムの構築を目的としている。現在、アパレルCADは広く利用されているが、衣服のデザインは依然として手書きによるスケッチ画が利用されおり、CADが利用されるのはパターンメイキングからの段階からである。本研究は、デザインプロセスをコンピュータ化することによって、デザインイメージの共有、情報伝達の効率化・円滑化、デザインしたモデルを即座に人体に着装させてシミュレーションするなどのメリットを得ようとするものである。 本年度は、衣服のデザインから縫製までに関する調査を行い、衣服を3次元的にデザインすることの長所を再確認した。Loop細分割曲面により衣服モデルを作成するシステムを実装し、このシステムで20個程度の衣服モデルを作成した。この過程で、システムで作りやすい形状や作りにくい形状などの検討を行うとともに、より利用のしやすいシステムとするための改善点を洗い出した。また、様々な衣服モデルに固有の変形に関する調査を行った。これらの調査に基づき、システムを改良しデザイナの創造性を生かせるようなシステムの作成を行うための基本的要因を得ることができた。 次年度は、これらの調査に基づく変形操作を取り入れ、人体モデルへの着装シミュレーションなどを行うとともに、デザイナの創造性に関する調査も続けて行う予定である。
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