ラフ集合論の基礎概念に基づく画像検索への応用に関する基礎検討として、医療データ解析や機械学習、市場解析など多くの分野でその有用性が見出されているラフ集合論が、データマイニング分野でもある画像内容検索への応用について検討した。ラフ集合論の関連研究を調査し、画像検索においては不要次元の省略が効果的ではないかという結論を得た。また、検索時の処理速度の観点から簡略アルゴリズムの必要性などの知見を得た。同時に、従来画像検索に用いられてきた方式との比較を行い、ラフ集合論を適用する方式の利点がどこに存在するかを精査し、特徴量空間において人が理解しやすい形での領域記述を行え、その領域を自動的に決定可能かつ、簡略化ができる点であることを明らかにした。その際、縮約の概念が重要であることを指摘した。 検索アルゴリズムの検討としては、キーワードによる検索に、キーワードごとに検索アルゴリズムを生成する方針にしたがって、検索アルゴリズムを検討した。自動的な生成ができ、かつ、高速な検索という観点に足る方式を提案している。 実装実験のためのデータ収集・準備に関して、実装実験に先立ち、提案方式の有効性を確認するための予備実験までを行った。この結果、理論検討時に見込んだ次元の省略効果などによって画像検索のため、よい特性が得られる可能性が高いことなどを確認した。また、計算時間等の面でも実用的な数値を得た。 これらの成果については、現在論文としてまとめているところである。
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