研究概要 |
仮想彫刻版画はシステム,実世界での木彫や木版画の作成過程をコンピュータで構築した仮想空間内でシミュレーションすることによって,対話的に三次元木彫刻や木版画のコンピュータグラフィクス(CG)を作成するシステムである.本システムはCGに関する特別な知識がないユーザでも容易に手作りの雰囲気を持つCG作成が可能であるとともに,芸術家等が現実世界の技法を活用することができ,さらに作成過程のデジタル保存を可能とするCGシステムを目標としている.そのため現実世界の彫刻刀やばれんの操作感覚を実現するユーザインタフェースの開発が非常に重要である. そこで本年度は筆圧感知式ペンタブレットを用いたユーザインタフェースを開発した.従来,本システムでの彫刻刀の操作はマウスを用いていたが,筆圧感知式ペンタブレットに対応させることで切削の深さや面に対する角度をペン操作圧力の強弱によって直接的に制御できるようになり,より現実の彫刻に近い操作感覚を実現した.彫刻操作を筆圧に対応させることで素材の硬さの概念が導入できるため,テクスチャ解析に基づいて木目や切削方向による木材の硬さの違いを表現することを提案した.仮想版画においてもばれん操作に筆圧ペンタブレットを用いることで,浮世絵作成等で用いられるばれん操作によるぼかし摺りなどの技法を仮想版画で実現した. これらの研究成果は世界最大のCGの国際会議であるSIGGRAPH 2003の他,国内外のCG/VR関係の会議で報告した.
|