研究概要 |
本年度は,XMLデータベースシステムの開発とXML問合せ処理機構に関する研究を行った. 1.軽量XMLデータベースシステムの開発 XMLデータベースでは,高速な問合せ処理を可能にする格納方法の開発が重要である.その中でも範囲ラベリングは簡明かつ効率的であるため多くのシステムで採用されているXMLデータの格納方法である.範囲ラベリング構造結合を組み合わせることによって効率的なXML問合せ処理が可能となる. しかしながら,範囲ラベリングはXMLデータの更新に脆弱であるという弱点を持っている.ユビキタスコンピューティング環境においてはXMLデータの更新が頻繁に発生するため,効率的な更新のサポートは欠かすことができない,そのため本研究では,XML木ノードの節点ラベルを動的に変更することによって,効率的な更新と問合せ処理を両立する新たな範囲ラベリング手法を開発した.一つは小規模にラベルを付け直す手法であり,もう一つは近似ヒストグラムを用いて更新操作の統計値を保持する手法である. 得られた成果は国際会議論文として発表した. 2.XMLの問合せ処理機構に関する研究 XMLを用いたメタデータ記述方式であるRDF(Resource Description Framework)を対象に,問合せ処理機構に関する研究を行った.具体的には,RDFデータを関係データベースへ経路式に基づいて格納する手法とその検索手法を開発した.これまでのRDFデータベースとは異なり,RDFデータをそのスキーマに基づいて管理する.まず,RDFスキーマからクラスとプロパティを抽出し,その後,それらのインスタンスであるRDFデータから資源を抽出する.最後に,それぞれの識別子と経路を生成し,関係表に格納する.これによって,スキーマ情報を含む経路に基づいた問合せを高速に処理することができる. 得られた成果は,雑誌論文,国際会議,国内学会等で発表した.
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