本年度の研究は平成18年度の研究実施計画に沿って行った。 前年度のシステム移行する際の不具合の除去を行った。具体的にはモジュールの細分化を行い、役割の明確化とコードの簡単化を図った。こうすることによって、リアルタイム処理までは行かなかったのですが、処理スピードが約30%向上したことが確認された。 動き検出、動き識別に用いる時系列パターンの構成は、動きのスピードや向きによって変化するものと考えられますので、連続したフレームだけではなく、間引きした形でn(nは可変)フレームごとに時系列パターンを構成し、動き識別を行った。結果として、遅い動きに対しては、安定した出力が得られたが、速い動きの場合、フレーム間差分が大きくなり、時系列パターンが不安定になって、識別精度が低下する。改善策として、何種類の時系列パターンを同時に構成し、並列に動き識別を行うことが考えられますが、計算量が増えるため、高速化の課題が残っている。 今年度はビデオカメラのランダムノイズによる瞳検出(顔位置検出)精度の影響を抑えるため、DCT係数を利用したパターンマッチング法を開発した。これと同時にDCT係数を利用した表情識別モジュールの開発を行った、無表情、笑い、悲しい、驚き、怒りの5表情の識別が登録者本人の表情を入力した場合に実現されている。苦しみという表情は、悲しみと怒りの両方の特徴を持つことが実験で分ったため、介護支援を目的にした場合、この3つの表情を統合して、苦しい表情と判定しても差し支えがないと判断される。 以上の成果をメーカーに展示し、社会的な需要度と製品化する際にクリアすべき課題について検討した。更なる完成度の高いアルゴリズムの開発や、要介護度に応じたターゲットの絞込みや、介護現場での意見を取り入れたシステム構成など、現実問題とした課題が出されたので、今後の課題にしたい。
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