研究概要 |
本研究では,ビデオをグラフで表してグラフスペクトル法によるファジークラスタリングによりビデオデータを圧縮表現することでビデオの類似検索とブラウジングを効率的に行うことを目的としている.以下に平成15年度の本研究の成果を研究発表リスト順に列挙する. 1)クラスタリングを利用したビデオの圧縮表現に基づくブラウジングと類似検索法を提案し,NASAの公開ビデオデータを使った実験により有効性を検証した.提案手法では,まずビデオのショット分割とショット集合のクラスタリングに基づきデータベースビデオを記号列に変換した.この記号列表現に基づきデータベースビデオのショット間関係を有向グラフで表し,有向グラフからのファジークラスタ抽出法により始点ショットや終点ショットを求めた.始点ショットから終点ショットへと順番にユーザに提示し,ユーザが選択したショット集合をクエリとしてビデオの類似検索を行う方法を提案した.始点や終点としてのメンバシップを用いることで,ビデオの内容を把握しやすいブラウジングが実現できることと,より詳細な検索結果が得られることを実験で確認した. 2)ビデオのショットを,始点と終点のメンバシップおよびカラー情報を用いて3次元空間に配置することで,データベース全体を大域的にブラウジングする方法を提案し,実験により有効性を検証した. 3)非負行列因子分解とグラフスペクトル法を組み合わせたクラスタリング法を提案し,複雑に入り組むクラスタを抽出することが可能であることを実験により明らかにした.この手法を用いれば,ビデオのショット分割がより正確に行えると期待できる.
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