研究概要 |
大規模な3DCGシーンのリアルタイムレンダリングのための基盤となる研究に関して,本年度は以下の二つの研究を行った. 1.樹木のレンダリングおよびアニメーションに的を絞った上で,二つの高速化技術に関する手法を提案した.木の形状は大量のポリゴンから構成されるため,木のアニメーションに必要な物理計算には計算コストがかかる.一つ目の高速化手法として,近年のグラフィックスハードウェア(GPU)の機能の一つである頂点シェーダを利用し,木のレンダリングに必要な頂点スキニング,およびアニメーションの際の回転の計算を置き換えることで高速化を行った.二つ目の高速化手法として,LOD(Level-of-Detail)技術を利用し,視点からの距離に応じてアニメーションの計算に制限を設けることで,アニメーションにかかる計算コストの削減を行った.結果として,最適化を行っていない状態に比べ,より高速に処理できることが確認できた. 2.点群データを直接高速にレンダリングするためのポイントレンダリング手法を提案した.本手法は画像処理に基づくものである.これは,点群を一度イメージバッファに投影したあと,イメージバッファを縮小する.この縮小処理により面が構成され,その後もとの大きさに戻すことで,面に対するシェーディング処理と同様の処理を行うことができる.シェーディング処理に必要な法線も,この過程の中で高速に計算することができる.すなわち,データ入力の際に法線が必要なく,このことは,従来研究に対する大きな利点である.色やテクスチャの付加も可能であり,さらに,フレーム間でのアンチエイリアシング処理により,アニメーションも可能であることが確認された.
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