研究概要 |
本研究はユビキタス環境を前提とし,複数のユーザが携帯端末を持っている状況を想定して,どのようなユーザサポートが可能であるのかを明らかにすることが研究目的である.特に,テーマパークに代表される大多数のユーザが時間的・空間的に限られた資源を使用する状況において,どのようなリソースアロケーションを行えば個人の利便性を犠牲にすることなく全体の効率を上げることが出来るかを扱う. 本研究の初年度では,当初の研究計画に従ってテーマパーク問題の定式化とその実装を行った.定式化に関してはマルチエージェントによる動的なモデルを構築し,複数のユーザが実際にテーマパークを訪れる際の行動と利便性に基づいてユーザサポートの効率が検証できるフレームワークを提唱した.また,そのモデルを実際に計算機に実装し,シミュレーションできる環境を構築した. さらに,混雑状況を提示する端末によって混雑を回避するユーザを想定した場合,端末の使用率が上がるにつれて全体の効率は上がるが,ある点を超えると逆に全体の効率が悪くなってしまう現象があることを突き止めた.これはテーマパークだけではなく,交通渋滞の発生などにも本質的に関わる問題である.本年度の研究ではその本質は情報の伝達遅れと行動選択効果の遅延によるものであることを明らかにした.本年度で得られた研究成果は,いくつかの学会で発表するとともに,論文としてまとめ,投稿するまでに至った.
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