研究概要 |
平成16年度は、昨年度までに考案した情報検索支援システムのプロトタイプが機能するかどうかを確かめるため、学生が行った情報検索実習の結果を分析し、実際のユーザがどのような検索を行っているかを調査した。 ますはじめに法科大学院生の情報検索手法について、相関係数や2群の差の検定などの統計的分析を援用しながら分析を行った。特に既習者-未習者間に相違があるかどうか、どのような種類のキーワードを検索に用いる傾向があるか、問題の主題と法科大学院生の選んだキーワードとの関連などについて分析を行った。 次に上記の分析を基に、法科大学院生が法令や判例などの法情報検索を行うときによく用いるキーワードを文章から自動的に抽出するシステムを開発した。上記の分析において、‘表現の自由'等の法的概念を用いた法情報検索を行うことはあまり見受けられなく、むしろ特定の場所等の固有名詞や一般名詞を用いて検索を行う傾向があることがわかったので、名詞を抽出して検索を行うこととした。 上記の分析をふまえ、法科大学院生や実務家など、法律関連コンテンツの情報検索を行う必要のあるユーザに対し、効率的な法情報検索を行えるよう支援するシステムのプロトタイプを試作した。開発したシステムでは検索したい内容を含む文章をマウスで範囲指定することで,関連する法令や判例等法律関連コンテンツを検索するという情報検索手法を用い、システムは統合法令・判例検索システムとして、法令検索支援インタフェース,法令データベース,法令検索エンジンから構成されている。本研究で開発したシステムでは、法律関連情報を関連文書としてマウスで選択した後、コンテキストメニューから法令検索を指示すると関連文書中から検索に適すると思われるキーワードを抽出する.ユーザは提示されたキーワードから検索に用いたいキーワードを選択し、法令・判例検索エンジンを用いて法令・判例の検索を行う。
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