研究概要 |
本年度は,身体像を内蔵した学習機構の開発と多自由度ロボットへの適用を目的に,1)身体像の工学的定義と身体像を用いた強化学習の提案,2)知識の再利用による学習の効率化,3)多自由度マニピュレータの試作機の開発,の3つの課題について研究を行った. 1)では,従来の「学習に必要な計算時間が自由度の大きさに対して指数的に増加するという学習問題」が,身体像を考慮することで「学習に必要な計算時間が,自由度の大きさとは独立に,ロボットのタスクに対する冗長度に依存した学習問題」へと変換可能であることを示し,強化学習の新しい枠組みを提案した.また,これにより,冗長多自由度ロボットへの強化学習の適用を可能とし,シミュレーションによりその有用性を示した. 2)については,強化学習により得られた知識を基に,環境および身体のモデルを構築し,これを利用することで,異なるタスクを効率よく学習する手法を提案した.来年度は,この手法を,1)の身体像の構築へと応用する予定である. 3)については,1)および2)の実験を行うため,水平面内を運動する6自由度のマニピュレータを製作した.このマニピュレータは,各軸に制御系と小型のCPUを搭載しており,各軸の関節角度を同時に分散制御することができる.来年度は,身体像を実現するためのハードウェアを試作するとともに,1)および2)を合わせ,身体像を内蔵した学習機構による実ロボットの制御へと拡張していく予定である.
|