研究概要 |
本研究で開発する画像拡大手法では,モノクロ静止画像に対するアルゴリズムが基本となる。本年度はモノクロ静止画像に対するアルゴリズムの構築に注力した. 具体的には,以下に示す手順で研究を行った. 1:画像の拡大処理に用いる入力情報を処理速度と画質の両面から検討した.その結果,被拡大画像の画素間差分の絶対値を拡大処理における入力情報とした.これは次年度開発予定のカラー画像拡大処理におけるベクトル化アルゴリズムにも適用可能である. 2:画像拡大のためのファジィ推論におけるファジィIf-thenルールの構成,メンバーシップ関数の形状,配置に関して検討した.具体的には,筆者らが開発してきた画像処理アルゴリズムである."コードブックを用いた画像拡大法"や"ファジィ推論を利用した画像擬似階調表現法"をより発展させる形で画像拡大法に対して適切なIf-thenルール,メンバーシップ関数の形状,配置を決定した.本研究は実時間処理を念頭においたアルゴリズム開発であるので,同様の画像処理研究におけるファジィIf-thenルール数の最少化技術が非常に有効であった. 3:1,2で決定された入力情報,ファジィメンバーシップ関数を用いた画像拡大手法に対して,種々の画像を用いた周波数解析や,誤差,および官能検査による画質の評価,CPU時間計測による処理速度の評価を実施し、実験的にアルゴリズムの検証を行った. 4:開発した画像拡大アルゴリズム、およびそのアルゴリズムを開発するにあたって検討資料となった"ファジィを用いた画像処理アルゴリズム"を国内外で,研究発表,研究論文として公表した.
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