研究概要 |
本研究では舞踊技術を記録して,それを教育・後継者の養成に生かす手法の提案・システムの開発を行う.まず舞踊に慣れ親しんでもらうために,舞踊後継の担い手である初心者・子供を対象として,学習者が模範演技者の演技を模倣し,表面的にはそっくりに踊れるように指導する手法・システムを提案する.その後,そのシステムを用い,多数の演技者の舞踊データを得て,外見の一致以外の個性といった部分も含めた舞踊の本質に関する知見獲得を目指す. 本年度は身体動作教示システムの開発の一環として初心者への模範演技の効率的な情報提示について研究した.身体前方にスクリーンを設け,そこに模範演技者の動きをプロジェクタで映し,それを見ながら学習者を踊らせた.その際,学習者の向きによってはそのスクリーンが見えなくなる,といった問題を解決するために移動ロボットの上にモニタを搭載し,ロボットが学習者の動きに応じて学習者正面に回りこむことで常に学習者が模範演技者の動きを把握できるシステムを開発した.複数の被験者を用いて実験を行い,有効性を確認した。さらに,足の動きの指示に関してはプロジェクタで足型を地面に投影して学習者がその足型を踏むことで自然とステップの練習ができるようにした.また,視覚への情報伝達に加え,音声情報・触覚情報も利用するため,身体各部に装着して使用するアクティブデバイス(リング状の布バンドに振動子・ブザー・マーカ等をいくつかつけたデバイス)を現在作成中である. また,リアルタイム運動解析のために,市販のモーションキャプチャシステムを導入した.来年度は全体システムを完成させ,外見模倣のための舞踊動作の分類・段階的舞踊学習,教育システムとしての活用,個性に応じた舞踊特徴の抽出といったテーマに取り組む予定である.
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