研究概要 |
本研究では,輪郭表現に基づく新しい画像処理システムの構築を目的としている.本システムでは,ユーザーと対話的に輪郭線の選択と加工を行うことで自然画像処理を実現する.今年度は,高速復元可能な画像輪郭表現の実現と,ユーザーインターフェースの構築を目的とし,従来から提案されている画像輪郭表現の改良とパーソナルコンピュータ上でのアプリケーション作成を行った. 研究代表者によって提案されたエッジベース画像合成モデルは,画像を輪郭線上のウェーブレット関数の線形和によって近似する画像表現であり,画像輪郭の加工により画像処理を実現することができるが,画像表現には原画像を平滑化した画像を含み,完全な輪郭表現ではないため,画像加工を実現するためには,輪郭と独立した平滑化画像に対する処理が必要であった.今年度は目標とする画像処理を実現するために,平滑化画像の輪郭に基づく適応的な標本化と復元法に関して研究を行い,エッジベース画像合成モデルから完全な画像輪郭表現を構築した. さらに,提案した画像表現を用いてパーソナルコンピュータ上で画像内容の編集を行うシステムを構築した.提案法の画像復元に要する計算量は従来法の約1/2程度であり,高速な画像復元を実現できる.実験より提案法とそれを用いた画像編集システムは,ユーザーとの対話性を損なうことなく,任意のオブジェクトの移動,除去,変形等の処理を実現できることを確認した.
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