研究概要 |
本研究の目的は,セキュリティやマーケティングに役立てるために,画像処理技術を用いて大規模な屋内・屋外施設での人物の位置を提供し,カメラ設置箇所のみならずそれ以外の場所であっても,その動向を認識するシステムを開発することである. 本年度の研究実績は,以下の二つである.まず,一台のカメラで人物を追跡できる範囲は限られているので,広範囲に移動する人物を追跡するために,複数のカメラ映像中の人物認識を行い,異なる映像間で同一人物かどうかの照合を行うシステムを構築した.このシステムは,映像中の人物の検出と,その輪郭の抽出を実時間で行う.さらに,抽出した人物の特徴量を,ネットワークを経由して中央処理サーバに転送する.サーバではそれらの情報を統合して,どの人物がどのカメラ映像中に現れたのかを,画像認識技術を用いて照合する.また,このカメラ映像間の色や輝度,照明の変化による特徴量の変化を補正し,人物同士を照合するための色補正手法を開発するため,基礎データを収集した.この補正は色マトリクスを用いており,時々刻々と変化する屋外照明に対応するために更なるデータの蓄積が必要である. つぎに,屋外に設置した固定カメラの映像から,交差したり追い越したり隣り合って歩く等,画像内に複数存在する人物を検出し,追跡する手法を開発した.この手法はパーティクルフィルタを用いており,安定な実時間処理が可能である.固有空間法を用いて人物の移動軌跡を予測し,安定に追跡する手法の検討も行った.また,固定カメラの映像に写る,認識に悪影響を与えるような障害物体を除去するための基礎的な手法を開発した.
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