研究概要 |
画像・形状データ解析ではこれまであまり表立って扱われてこなかったトポロジー情報を積極的に用いることで,位相的問題を引き起こさない,高速な形状解析アルゴリズムと,アルゴリズムに伴って必要な計算効率のよいデータ構造の提案を目指している.対象として3次元形状,特にその境界部分である曲面に着目して研究をすすめている.初年度の平成15年度は,トポロジーと幾何学の両面から研究を行い,以下のような研究成果がこれまでに得られた. - 離散空間における曲面の定義を見直し,組合せトポロジーの局所的なアプローチによる離散曲面の定義を行った. - 多面体的複体を用いて,3次元離散空間に組合せ位相を導入する方法を提案し,その位相構造を用いて離散空間の各点の(近傍領域の)位相的性質を調べ,さらにその位相的性質に基づいて各点を分類する方法を提案した. - 上記の分類方法をうまく利用して,局所領域(離散空間における3x3x3個の点)でのあらゆる点の配置(局所パターン)を考え,その局所パターンが離散曲面となっているかどうかを判定するアルゴリズムを提案した.また,実際に離散曲面の局所パターンはいくつあるのか数え上げた. - 離散平面に現れる局所パターンの位相構造を調べた. - 境界面は離散曲面になることを逆に利用して,形状データから境界面を効率よく探索する位相的境界探索アルゴリズムを考案した. - 探索・作成した境界面から,表面積,体積などの幾何学特徴量を計算する実験を行った.また,形状データの標本化間隔が小さくなっていくとき,それらの幾何学特徴量の計算結果は真値に対してどのように変化していくのか調べた. 今後は,上記の研究成果を国内外の会議において発表を行うとともに,以下の課題に取り組む予定である. - 離散平面と離散曲面の局所パターンの比較 - 離散空間における曲率の定義と計算法の提案 - トポロジー特徴量の定義と計算法の提案
|