研究課題
人間は言葉を有効に利用して、コミュニケーションをおこなっている。これは音声が特別な道具なしに情報を伝え合うことができる、最も容易な手段であるためと考えられる。人間の発声器官は主に、肺、声帯、声道、舌、口蓋とそれらを動かす筋肉などから成り、互いに適当な位置や形状を形成することにより言葉が生成される。最近のマン・マシンインタフェース技術には、人間らしい音声による情報の提示や、音声による入力デバイスが不可欠な要素となっている。本研究では、発話動作をおこなう器官をエアポンプ、人工声帯、声道共鳴管などを用いて機械的に構成し、計算機による聴覚フィードバック制御によって自らが音声を獲得、生成することができる発話ロボットの開発をおこなった。更に、聴覚障碍や発話障碍を持った患者が、対話的に発声訓練できるシステムの構築を目指した。本年度は、前年度から構築してきた人間の発声器官に対応する各機械部および制御機構の見直しを図った。シリコーンゴムで成形した共鳴管の形状とその制御機構を見直すことにより、共鳴特性が向上した。また二枚振動声帯とその起振機構を開発し、人間と同様の声帯振動を実現した。発話ロボットから生成される音声をマイクロフォンから入力し、音響解析部で解析を行う聴覚フィードバック機構に、自己組織化ニューラルネットワーク(SONN)のオンライン学習を適用した。これにより、人間が目標となる音声を与えることにより、機械系が自ら音声および発話動作を獲得できる適応学習が可能となった。またピッチを適応的に学習、獲得することにより、発声練習から歌声を生成することも可能とした。更に、聴覚障碍、発話障碍患者のための発声訓練システムの構築をおこなった。発話障碍者の不明瞭な発声からその発話動作を再現し、これを明瞭化する発話動作を提示するシステムを構築した。今後、実証実験をおこないシステムの有効性を検証していくと共に、新しい対話型発話訓練装置の実用化を目指していく。
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