本研究では、屋外環境下で動作戦略を学習によって獲得できるロボットの構築を目的とする。そのため、整備されていない環境、悪天候、障害物との接触などを考慮し、ロボットの構造を考える必要がある。本年度の前半をロボットの戦略獲得に必要な学習アルゴリズムの改良を中心に研究を行い、後半ではロボットの物理的な構造の改良を行った。 その結果、従来アスファルト上でしか動作できないが、整備されていない野原や浅い水溜まり場にも対応出来るようになった。新しく試作したロボットでは、上下にエネルギー源である対応電池パネルと光センサーを搭載することにより、何らかの理由でロボットが上下さかさまになった場合でも動作を続けることができ、ロボットの動作性を向上させることができた。回路の改良により、ロボットのエネルギー獲得能力が上がり、屋外環境下でより長く動作できるようになった。 ロボットの制御部として、以前に提案したニューラルネットワークアンサンブルモデルの基礎的なシミュレーションを行い、今後ロボットに搭載する予定である。この他に遺伝的アルゴリズムの新しい手法(Labeled-GA)の開発を行った。Labeled-GAでは突然変異率を自動的に調整し、最適解を効率良く発見すると同時に、その最適な遺伝子の重要な構成要素を発見できる。この手法をロボットに搭載した場合、最適な動作戦略を獲得できるだけでなく、その戦略を構成する動作の解析も行うことができ、戦略の解釈をすることができる。今後、長期にわたりロボットの屋外動作実験を行うと同時に、複数ロボットでの戦略獲得手法に関して検討を行う。
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