研究概要 |
木研究課題では,MPEG-4等の低ビットレート映像符号化の画質改善及び高機能化を実現するために必要となる,高度な前処理技術を確立することを目的として研究を進めている.平成15年度の成果は以下のとおりである. まず,画質改善を目的とするプレフィルタ関連のテーマとしては,(1)フレームスキップを抑制するためのプレフィルタ制御法の研究(2)非等方拡散法に基づくエッジ保存型フィルタの構築の研究を実施し,その成果を学会で発表した.(1)では,VBVバッファ残量に基づき,プレフィルタの平滑化強度を制御してフレームスキップを減少させる方法にづいて提案し,検証を行った.本研究成果は情報科学技術フォーラム(FIT2003)に探稿し,査読付き論文として採用された.(2)では,主観画質をなるべく保ったまま大幅に符号量削減を実現するエッジ保存型フィルタを,非等方拡散法という技術を核として構築した.本研究の成果は芸術科学会主催のNICOGRAPH論文コンテストに投稿し,最優秀論文賞を受賞した.また,国際会議IWAIT2004においても同様のテーマに関する研究成果を発表する機会を得た. 次に,高機能化に関するテーマとしては,(3)Geodesic Active Contour法に基づく自然画像からのオブジェクト自動抽出法の研究を実施した.これは,MPEG-4においてオブジェクトベースの符号化を実現することを目的とし,不完全なエッジ情報からオブジェクト領域を特定する手法を検討したものである.本研究の成果は,国内シンポジウムIMPSにおいて発表を行ったが,本研究はまだ初期検討の段階にあり,平成16年度も引き続き研究を進めていく必要がある.
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