研究概要 |
本研究の目的は皮膚構造の光学的モデル化と質感の高い皮膚画像生成であり、平成15年度は特に皮膚画像の解析とモデル化を行った。 皮膚画像の解析は二つの見地から行われた。一つは深度方向での光の散乱と吸収の解析,もう一つは表面に現れるテクスチャの解析である 深度方向での光の散乱と吸収の解析は、設備備品費で購入した分光放射輝度計により計測した皮膚の分光反射スペクトルについて行った。まず,皮膚表面に垂直に入射し垂直に反射してくる光について,光学的モデルを仮定し,皮膚内に存在する色素数や皮膚の厚みのパラメータをコントロールして反射光の分光スペクトルを推定する手法を確立した。その推定方法としては,混濁物質層の光の透過と反射を推定するためのKubelka-Munk理論を用いた。そして,様々な部位,様々な状態の皮膚について測定した実測値と比較してモデルの妥当性を調べ,モデルの補正やパラメータの変更を行い,光学的モデルを確立した。 このとき,皮膚内部からの反射光が皮膚表面において入射位置に対しどのような拡散分布で表皮に表れるかについても調べた。その結果、長波長領域で広い拡散が起こることがわかり、補正する方法を示した。 さらに,テクスチャについて,高解像カラー画像から皮膚表面上のテクスチャ成分を解析し,分光反射モデルとの対応づけを行った。 これらの成果について、学会等で研究報告を行った。
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