本研究においては、これまでに提案されたリンケージ同定に基づく遺伝的アルゴリズムをさらに発展させ、より一般的な枠組みとして、遺伝子解析に基づく遺伝的アルゴリズムを開発することを目的とし、さらにそのシステム設計問題への応用をはかっている。バイオインフォマティクスの分野では、遺伝子解析に関する手法が数多く提案されているが、それらを参考にリンケージの同定、ビルディングブロックの検出、交叉手法の改良などを行い、より高性能で高い信頼性を有する遺伝的アルゴリズムを開発する。 本年度においては、分布推定手法の改良を図るとともに、効率的な並列化手法を開発することで、大規模な問題への対応を図った。具体的には、割り当て関数による重み付けを行うことで精度を向上させ分布推定に要する計算コストを削減するための手法を開発するとともに、ベイジアンネットワークに基づく確率モデル構築を行う分布推定アルゴリズムにおいて、ネットワーク構築の効果的な並列化手法を開発した。 さらには、リンケージ同定と分布推定アルゴリズムの双方の利点を組み合わせたアルゴリズムD^5の開発を行い、問題規模の増大に対するスケーラビリティに優れた手法を開発した。さらに、D^5の実数値問題への適用についても議論するとともに、その性能について評価を行った。 提案手法の適用例として、特に、蛋白質の構造エネルギー最小化問題へ、並列化した分布推定による探索手法を適用することで、本研究で開発した手法の有効性を検証している。
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