本研究においてこれまでに得られた成果の概要は以下の通りです。 1.状態が量子化されたパルス列発生器は、我々が提案、解析してきたオリジナルの系です。同系は周期の短いパルス列や長周期で複雑なパルス列等の様々な周期パルス列を発生出来ます。また、それらのパルス列は初期値に対して共存します。本研究では共存するパルス列の数、各パルス列の周期、各パルス列への引き込み領域等の基本特性を、理論と数値実験の両面から解明しました。 2.量子化パルス列発生器の結合系を提案しました。同結合系は同相同期、多相同期、複雑な位相関係を有する同期等の様々な現象を呈することが出来ます。それらの現象は、動的な情報処理やパルス通信の基礎になると指摘されています。本研究では工学的応用の基礎を固めるために、同結合系が呈する基本的な同期現象を分類して、代表的な現象を引き起こすパラメータ領域を解明しました。 3.工学的応用を目指して上記結合系の簡素な実装回路を設計しました。また回路実験によって典型的な現象の発生を確認しました。同実験においては補助金で購入した「量子化パルス列発生器結合系測定装置」が有効な測定器として用いられました。
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