風景画像のような画像を対象とした検索では色情報のみからでもある程度検索を行えるが、特定のオブジェクトと含む画像を検索するような場合にはオブジェクトの形状情報を考慮して検索が行えることが望ましいと考えられる。今年度の研究では形状情報を利用した画像検索システムを作成し、色情報の場合と同様に類似画像検索が行えることを確認した。また、検索システムとして利用できるようなユーザインターフェースの作成も行った。形状情報としては、オブジェクトの外接円から輪郭までの距離の情報を用いている。今後は、より柔軟な検索を実現するために、色情報と形状情報を組み合わせた検索を検討していく。 また、本システムではカオスニューラルネットワークを用いて類似画像検索を実現しているが、カオスニューロンのパラメータによりカオスニューラルネットワークの動作は大きく異なると考えられる。今年度は、カオスニューロンのパラメータと検索能力に関する検討を行った。その結果、本システムの検索能力は、従来のカオスニューラルネットワークと同様に不応性のパラメータ(減数定数、スケーリングファクタ)の値によって大きく変化することが確認できた。また、本システムでは、画像をシステム内では分散表現パターンに変換して蓄積しているが、その分散表現パターンのサイズが変化しても検索能力には大きな影響を与えないことが確認された。しかし、分散表現パターンのサイズが極端に大きい場合や小さい場合にはニューラルネットワークの学習に時間がかかってしまうため、学習にかかる時間などを考慮して分散表現パターンのサイズを決める必要があると考えられる。
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