研究概要 |
本研究課題の目的は,例外値を含むデータに対して頑健なパターン情報処理の実現を目指して,(1)入力データの順逆変換すなわち次元圧縮と復元を行う階層型ニューラルネツトを用いてデータ変数毎の確からしさを推定し有効な変数を選択する手法を検討すること,ならびに(2)その手法を、顔の一部が隠された状況での顔領域検出や個人識別など様々な画像ベースのパターン認識課題に応用すること,である.以下に平成15年度の研究成果を列挙する. 顔の向きによらない個人識別:順逆変換ニューラルネットを用いて複数の識別器を統合する学習アルゴリズムを提案した.これによって,複数人物が様々な方向を向いた画像が向きの情報なしに与えられるような場合でも正しい個人識別が可能となることを示した. 画像の例外部分を補正可能な識別器:画像の一部が隠されたデータが与えられてもその領域を自動的に検出し本来の画像を推定する仕組みをもった識別手法を提案した.顔とそれ以外の画像の識別および個人識別の二種類の課題のいずれでも,サングラスなどで顔の一部を隠しても識別率を低下させず良好な結果が得られることを示した. 画像の縮小拡大による順逆変換:データから特徴を抽出しそこからデータを再構成する順逆変換としては,主成分分析によって次元圧縮と復元のための線形変換を構成する方法が一般によく用いられている.本研究では,この順逆変換過程を画像の縮小拡大に置き換えた新たなパターン認識手法を提案し,画像中の顔領域検出に有効であることを示した.
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