研究概要 |
本研究課題の目的は,例外値を含むデータに対して頑健なパターン情報処理の実現を目指して,(1)入力データの順逆変換すなわち次元圧縮と復元を行う階層型ニューラルネットを用いてデータ変数毎の確からしさを推定し有効な変数を選択する手法を検討すること,ならびに(2)その手法を,顔の一部が隠された状況での顔領域検出や個人識別など様々な画像ベースのパターン認識課題に応用すること,である.以下に平成16年度の研究成果を列挙する. 画像の例外部分を補正可能な識別器:画像の一部が隠されたデータが与えられてもその領域を自動的に検出し本来の画像を推定する仕組みをもった識別手法について研究した.顔とそれ以外の画像の識別および個人識別の二種類の課題のいずれにおいても,サングラスなどで顔の一部を隠しても識別率を低下させず良好な結果が得られることがわかった.本研究成果については,16年度中に一篇の論文を発表し,さらに一篇が受理され印刷中である. 頑健な恒等写像学習による三次元形状復元:複数の画像の特徴点座標列からカメラの運動と物体の形状を復元する問題は,コンピュータビジョンにおいて基本的かつ重要な問題である.本研究では,上述の研究から導かれた学習アルゴリズムをこの問題に適用し,特徴点の追跡を失敗した場合のようにデータ中に大きな誤差が含まれる状況でも,カメラ運動と物体形状を高精度に復元できることを明らかにした.
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