研究概要 |
地域性を考慮したGISの導入過程における「地域性」を,利用者である自治体職員と対象となる地域の認知度として捉える.まず地域特性との関連をより明らかにするため,過密型大都市の自治体,過疎地域の自治体を含む複数の自治体職員に対して,情報共有のための時空間情報をキーとするコンピュータシステムの導入過程をアダプティブマネジメシトの視点で捉え,以下のような作業,分析を行った. 1)災害での利用も考慮した平常時の自治体システム構築に関する考察 情報システムの災害リスク要因を明確化し,この問題点に対する対処方法を考慮したシステム構成を提案した.技術的課題となる,ホロニック(自律分散協調型)システムを構築できる自空間GISの構築に関して検討し,プロトタイプシステムを開発した.さらに,このシステムを基盤としたアプリケーションシステムを構築し、神戸市長田区の総合防災訓練に適応した.特に,利用者の情報リテラシを考慮したGUIを実装し,災害対応のためのGISの利用経験はないが,平常時にGISに触れる機会のある利用者であれば,ほとんどマニュアルなしで対応できることを確認した. 2)GIS初期導入過程のモデル構築 鳥取県智頭町において導入されたGISベースの「ひまわり(智)システム」の導入過程について分析し,地域への情報システム導入のモデルとしてパラサイト型導入過程を提案した.さらに智頭町において,福祉関連各機関が互いに連携して高齢者の住民により質の高い総合的なサービスを提供していく試みである「ひまわりプロジェクト会議」に参加し,自治体を含む福祉関連機関職員が,情報共有を行っていく過程でGISの重要性をどのように認知するかについての実態調査を行った.
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