音楽、映画、書籍、など、選好に個人の嗜好と消費者の相互依存性が観察される市場のWinner-Take-All現象を同様にGini係数を用いて測定した。 音楽CDや映画という個人の選好に依存する財の市場においてWinner-Take-Allが観察される。このWinner-Take-Allは、従来の説明枠組みであるネットワーク外部性や、規模の経済性による価格優位では説明できない。本研究では、新しい説明理論として、情報チャネル効果を提案し、情報ネットワークによるコミュニケーションの増加がWinner-Take-Allをもたらすことを示した。Winner-Take-Allとは、ある市場において消費者の選択が、特定の財に集中していく過程と定義する。従来のWinner-Take-Allの事例としては、ネットワーク外部性で説明可能なものとして、オペレーティングシステム市場のウィンドウズや、携帯電話市場のNTT DoCoMoが挙げられる。規模の経済性によって説明可能なものとしては、ファーストフード市場のマクドナルドなどが挙げられる。しかし、これらの要因では音楽ソフト市場のWinner-Take-Allを説明できない。本研究においてWinner-Take-Allの測定指標としてGini係数を導入する。Winner-Take-Allを測定できる指標を導入することで、音楽ソフト市場がWinner-Take-Allであるかを定量的に判断することができる。情報チャネル効果の存在を確認するため、質問紙調査を実施し、Winner-Take-Allを強める要因としての情報チャネル効果の存在を確認した。 調査結果から以下の2点が明らかとなった。「1.個人間の情報チャネルを利用する人と利用しない人では、利用する人ほどWTAな傾向を示す購買行動をしている」「2.マスメディア情報を利用する人と利用しない人では、両者にWTAな傾向の差は観察されない」
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