研究概要 |
今年度の以下の研究をおこなった 1.フサオマキザルにおける概念形成実験結果の細分析 昨年度までにフサオマキザルを対象におこなった概念形成とシンボル使用に関して得られたデータの詳細な解析を進めた.その結果,概念形成学習に用いられた各刺激画像とシンボル画像とをフサオマキザルは異なったものとして処理していたことが明らかになった.今後,この結果がどのような認知的過程を反映しヒトのシンボル使用に至る過程とどのように関係しているのかヒト成人,ヒト幼児の結果と比較検討をおこなう予定である. 2.ヒト幼児における概念形成調査 市内2カ所の私立幼稚園の協力の下,カード化した写真画像を用いた「自由分類課題」を実施した.まず,3/4/5歳の各年齢群の被験児が遂行可能な課題場面を設定するため,複数の方法を用いた予備的調査をおこなった.その結果,5歳児において信頼の度の得られるデータ取得法が開発できたため,本実験を開始した.現時点においても調査を継続中であり,来年度途中においてまとまった結果が得られる予定である. 一方で,3/4歳児においては,最初に想定していた「自由分類課題」では十分なデータを得ることができないことが明らかになった.今後,より低年齢の幼児に対して実施可能な新たな課題場面設定について探索しシンボル使用の発達過程について明らかにする予定である. 3.ヒト成人における概念形成とシンボル使用 フサオマキザルでおこなったものと全く同一の課題,実験装置で実験を実施する予定であったが,実験に要する拘束時間及び労力を少しでも軽減するため,実験手続きの簡素化を目指した予備実験を実施した.その結果,実験事態の本質を失うことなくヒト成人における概念とシシボル使用についてデータ収集が可能な実験場面が設定できた.今後被験者数を増やし1.で明らかになったフサオマキザルにおける実験結果と比較検討を進める.
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