研究課題のうち、平成15年度は正準相関分析における次元縮約の問題に対するノンパラメトリック検定(特に並べ替え検定)に関するアルゴリズムの構築について考え、数値計算を行った。特に高次の正準相関係数に関する検定について重点的に行った。平成15年度の具体的な概要は以下の通りである。 4月から6月にかけては当該問題に対する理論的な立場から、並べ替え検定に関するアルゴリズムの構築について考えた。本研究の目的は提案するアルゴリズムの妥当性を検証することとすでに提案されている漸近理論に基づいた検定手法との比較を行うことである。これらの検証、比較を行うためには十分な数値計算による裏づけが必要となる。そこで7月にAlphaマシーンを購入し、8月、9月にかけて環境の整備とともに検証するためのFortranプログラムを作成し、予備検証を行った。また同時に物理乱数発生ボードも購入し、乱数の発生に役立てた。10月から1月にかけては正準相関分析の検定問題として1つの正準相関係数に関する検定、複数の正準相関係数に関する同時検定などの問題に対する数値計算を用いて行った。 その結果、本研究で提案するアルゴリズムが従来行われていた漸近理論に基づいた手法よりも有効であることが実証されたため、現在論文を執筆中である。 また実データを用いた正準相関分析の適用について考えるために、家計調査における収入と支出の関係を正準相関分析で明らかにする問題についても考えている。そこで家計調査年報から近年の調査結果を入手し、データを整理するとともに分析を行った。
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