研究概要 |
現在,医用画像の分野において,診断の自動化あるいは支援を目的として様々なシステムが提案されている.診断支援システムのさらなる発展によって,医師の負担とコストの低減を図ることが極めて重要である.本研究では,ビジョンチップを構成する場合に有用なアーキテクチャとして知られているセルラーニューラルネットワークを利用し医用画像処理に最適なハードウェア/ソフトウェア環境の構築を行う. 本研究では,CNNチップを搭載したユニバーサルマシーンを医用画像処理に利用すること考える.ただし,処理可能なピクセルサイズは128×128であり,実用画像を処理するにはあまりに低解像度である.この場合に,単純に画像を分割することも考えられるが,ブロック間にまたがる腫瘍や臓器を正確に抽出することが困難となり,実用にはそぐわない.そこで,画像全体を処理可能なように,CNNユニバーサルマシーンをネットワークによって接続し,CNNチップを用いた並列分散処理を考える.本年度は,その基本技術として,回路解析の分野で知られている回路分割手法の概念をCNNに適用し,画像分割によって全体の処理を行う方法を提案した.第一に,境界条件についての検討を行いシミュレーションによって分割手法の有効性を確認した.次に,複数のPCを高速LANこよって結合し,PCクラスタシステムとして知られているSCOREを用い分割手法を実行した.その結果,9台程度の結合であれば通信によるオーバヘッドは生じず,有効に画像を処理できることが分かった.これは本研究で行う医用画像処理システムの実現性を示している.
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