本研究は平成16年度に理化学研究所の分子ウィルス学研究ユニットとの共同研究であり、新しい実験と理論を開発した。細胞膜のコンピュータモデルについては、それぞれの脂質分子の相互作用のパラメータをMD Gaussian 03(量子化学のDFT方法)により計算し、実際の細胞あるいは核の脂質二重層構造の理解を深めた。AMBERとGromacsのforce fieldにより、原子レベルで異質な膜のシミュレーションを行い、MDでコレステロール分子が集合する過程を示した。LINCSアルゴリズムを並列化し、全体のMD並列計算方法を開発した。 理化学研究所の分子ウィルス学研究ユニットの共同研究の成果: A)細胞膜の不安定化を明らかにするため、Vprと相互作用している脂質とそのメカニズムを解析し、ドッキングや通過過程をシミュレーションで示した。Vprを細胞培養液中に添加するとHIV-1感染効率が上昇する原因を解析した。 B)Lund大学(スウェーデン)との共同研究を始めた(理研グループを含む)。この研究では、空中浮揚ドロップ技術を用いた分子機能の新しいウィルススクリーニング法を開発した。計算により、細胞膜とタンパク質の2Dクリスタルの構造を予測する方法が成功する可能性が出てきた。 C)様々な角度でタンパクと脂質の資料の2D結晶の電子回折パターンと電子画像を記録することによって、3Dデータセットが作り上げる計算方法の開発を始めた。 まとめると、Linuxクラスターを使い、Vprと細胞膜の計算スクリーニングに成功し、実験との比較を可能にした。
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