9kbチロシン水酸化酵素(TH)プロモーター誘導クラゲ発光蛋白遺伝子導入マウス(9kbTH/EGFPマウス)の計画的繁殖・飼育を行い発達期および成獣期の個体を得て、成獣個体では片側鼻閉による嗅上皮温存型嗅盲法を施行した。これらの動物を用いて、ホスホイノシチド代謝回転を担う分子のうち、CDP-ジアシルグリセロール合成酵素1型、2型およびホスファチヂルイノシトール合成酵素、α、ζ型ジアシルグリセロールキナーゼ、関連分子として脂肪酸結合蛋白群(fatty acid binding protein : FABP)、転写因子Dlx1、DLX2、Nurr1など多岐に渡る分子の発現変化についてin situ hybridization histochemistryおよび免疫組織化学染色による検討を行った。THプロモーター活性は前駆細胞が側脳室下帯を離れて嗅球に向かう途中のrostral migratory stream内で検出され、これは特に生後発達期に著しく、成獣との差異が認められたこと、および転写因子Nurr1は、TH mRNA発現細胞の分布と非常に類似した局在を示し、鼻閉側での遺伝子発現の低下も認められることから、嗅球ドパミン産生細胞分化過程への積極的関与が示唆されたことはJ.Comp.Neurol.2004にて発表した。FABPはアイソフォームにより鼻閉に対する共同に差異が認められたことからFABP各分子のノックアウトマウスを用いた嗅盲モデルを用いての神経回路変動におけるこれらの分子の機能を解析中である。また、本研究期間中に関連研究としてζ型ジアシルグリセロールキナーゼの脳虚血での細胞内移行現象と呼吸器における発現用式を追究する研究に携わり、結果を発表した。
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