研究概要 |
本研究では、ガンマ切断のイプシロン切断依存性を検証するため、予めAβを49番目までしかコードしていないAPPのカルボキシル末端側断片(イプシロン切断が49残基で起きた場合を模倣した長いAβ、以下CTF1-49)をCHO細胞に発現させた。CTF1-49を発現する細胞でAβが検出されたことから、イプシロン切断された断片がガンマ切断されることを示した。 本研究ではイプシロン切断部位の違いによるAβ分子種の変化も検討した。予めAβを48番目までしかコードしていないAPPのカルボキシル末端側断片(イプシロン切断が48残基で起きた場合を模倣した分子、以下CTF1-48)をCHO細胞に発現させた。この結果、Aβ42の増加が優位に認められ、イプシロン切断部位の違いがAβ分子種を反映することを示唆できた。 これらの細胞で検出されるAβが従来のガンマセクレターゼによるか否かを検証するために、ガンマセクレターゼの構成分子の一つプレセニリンの優勢阻害型変異体を発現する細胞株を樹立し、これにCTF1-49またはCTF1-48を発現させAβの検出を試みた。いずれの場合も検出されるAβが優位に減少し、CTF1-49またはCTF1-48からのAβ産生がガンマセクレターゼによることを示すことができた。これをさらに確認するために、ガンマセクレターゼ特異的阻害剤(L-685,458とDAPT)を細胞に処理し、それぞれの場合についてAβの検出を試みた。この結果、CTF1-49を発現する細胞ではいずれの阻害剤処理によりAβが優位に減少した。しかし、CTF1-48を発現する細胞では、L-685,458処理でAβが優位に減少したが、DAPTでは顕著な減少が見られなかった。二種類の阻害剤によるAβ産生の違いは、それぞれの阻害剤の作用機序の違いを反映していると考えられる。 以上の結果をJournal of Biological Chemistryに投稿した。現在審査中。
|