研究概要 |
骨格筋の興奮収縮連関における細胞内Ca^<2+>の上昇(DICR)は、脱分極により引き起こされる電位依存性Ca^<2+>チャネルの構造変化が、筋小胞体膜上のCa^<2+>遊離チャネル/リアノジン受容体(RyR)に伝達されることによると考えられている(メカニカルカップリング)。一方、Ca^<2+>がRyRに直接リガンドとして働きCa^<2+>遊離を起こす機構(CICR)も存在するが、これが筋収縮においてどのような役割を果たしているかについては議論が残る。カエル骨格筋にはメカニカルカップリング能とCICR活性の両方を持つαRyRとCICR活性のみを持つと考えられているβRyRがほぼ等量発現している。本研究ではDHPRとカップリングしたαRyRから遊離されるCa^<2+>がカップリングしていないαRyRやβRyRによって増幅される可能性について検討した。αRyR、βRyRをRyR欠損myotubeに発現させ、脱分極刺激を与えた際の細胞内Ca^<2+>濃度変化を測定した。αRyRは脱分極刺激によるDICR活性とCaffeineにより促進されるCICR活性の両方を示した。βRyRはCICR活性を示したがDICR活性は示さなかった。プロカインによりαRyR,βRyR共にCICRは有意に抑制された。このCICR活性を抑制した条件化において脱分極刺激を与えたところCa2+遊離量はαRyR単独、またαRyR+βRyR共発現の細胞においても有意な差は認められなかった。したがって、DICRにおけるCICRの寄与はαRyRに由来する物もβRyRに由来する物もごく僅かであることが推察された。また、カフェインによるCa^<2+>上昇の様子がαRyRとβRyRとで時空間的に異なるという興味深い特徴も見いだされた。この結果については、米・ロングビーチで開かれた第49回Biophysical Societyと第78回日本薬理学会において発表した。
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