研究課題
我々は、ケイジドグルタミン酸を2光子励起法で活性化する手法により、海馬錐体細胞において、機能的AMPA受容体発現とスパイン形態に強い相関があることを見出してきた。そこで本研究において、可塑性に重要な役割を果たすNMDA受容体の機能と、スパイン形態との間の関係性を調べることを行った。実験方法としては、海馬錐体細胞にホールセルを行い、カルシウム指示薬と、細胞形態を同定するためのAlexa594をロードした。これはカルシウム指示薬によるカルシウム動態の影響を少なくするためである。細胞外液からマグネシウムイオンをなくした状態で、任意のスパイン部位に対して、2光子励起によってケイジドグルタミン酸を活性化した。その結果誘発される単一スパインにおけるNMDA受容体を介したカルシウム濃度上昇を、2光子励起顕微鏡を用いて、高速ラインスキャンを行ってイメージングした。Alxa594の蛍光に対するカルシウム指示薬の蛍光比によってカルシウム濃度変化を捉えた。またスパインと樹状突起のカルシウム濃度動態を解析し、またスパイン体積、ネック長を調べ、これらの間の関係性を解析している。現在のところ、スパイン内のカルシウム濃度上昇はスパイン頭部の体積、及びネック長に反比例する傾向がみられている。さらに、このスパインの微細構造を考慮したシミュレーションを行い、実験結果との整合性を行うことを試みている。
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